悲しいこと

僕たちって、いつまでも子供じゃいられないわけですよ。
いつしか歳をとって、気付けば大人になってるわけですよ。
そうなると当然、同じ物でも感じ方受け取り方がかわってくるわけで。
で、昨日ドラクエやってて気づいたんだけど、薬草落とすモンスターとかいるわけよ。
「いるな。それで?」
いや、あれってさ、実は怪我した子供の下に急いでたりするんじゃね?
「!?」
勇者に怪我させられた子供のために薬草取りに行った帰りなんじゃね?
「だから森は出現率高いんかっ」
あ、そうかも。
「昔は使えばいいのに、とか思ってたけど、そういう事情が……」
勇者ってひでぇよな。

という会話をしてたらかとりんがバイト先に来た。
スーツ着てた。就活の帰りだって言ってた。
僕はまだ子供なんだな、と思うとちょっと悲しかった。
「俺もっと悲しいことあった」
どんな?
「彼女に、今日は家誰もおらんからって言われて」
全然悲しくなさそうなんだが。
「いや、悲しいよ。家いったらホンマに誰もおらんかった」
彼女も?
「彼女も」
あまーーーーい
「うぜぇ」
いや、でもそれあれじゃん。多分エイプリルフールだよ。先取りの。
「あ、まじで?」
なわけねぇ
「……」
……
「仕事するか」
うん……。


一応、月曜と水曜は、僕もスーツ着てましたよ?