流星号と僕

inu_kotetsu2008-05-18


「……」
「……」
「………しく」
「え?」
「経緯kwsk
「あー……あれはちょうど14時くらいの事でした。林檎とオニギリという組み合わせでテンションの上がっていた僕は、坂道を上りきったあとの下りで限界までペダルを漕ぎました。風が気持ち良かったように思います。太陽が気持ちよかったように思います。空気の抵抗を振り切ろうと、僕は更にペダルを踏み込みました。
今思えば暴挙かもしれませんが、すでに僕は風でした。位置エネルギーから生まれた速度という風でした」
「……それで?」
「下り坂の終りは更に傾斜があり、その角度は道の先が見えない程でした。今よりも速度が出るかと思った時にはハンドルを握りしめ、親の敵の如くペダルを踏み付けました」
「それで?」
「さあ、クライマックスだと心引き締めた僕の前に広がったのは、坂やスロープではなく階段でした」
「は?」
「止まる事は不可能だと判断してブレーキはかけませんでした。高低差は3mほど。飛べない距離ではありません」
「………」
「着地した後、僕を待っていたのはスロープ用のフェンスでした。ここからは僕の記憶は断片化するのですが、避けられないと悟った僕はウイリーの要領で前輪を持ち上げ衝撃に備えました。ぶつかった瞬間に流星号を見捨て、フェンスを越えました。ヨッシーを捨てるマリオのように。
でっていう!」
「はぁ……」
「先輩が到着するまでの間にどうやって説明すれば許してもらえるかを考えましたが、100%事実であります」
「怪我は?」
「服が破れて、ちょっと擦りむいたくらいです」
「そうか」
「うっす」
「まあ状況はわかったけど、何よりも先に言うべき事があるんちゃうか?」
「???」
「これをみて、何かいうことあるやろ」
「……」
「……」
「かき氷一丁!!」


何故かお昼ご飯奢ってもらえた日の事です。